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池田俊明(株式会社まなゲー 代表取締役)

僕は君たちに武器を配りたい 瀧本 哲史・著

2012年4月26日

 オビに「20代が生き残るための思考法」とあったので、30代後半の私としては、つい手に取るのが遅れてしまったが、子育て中の親世代や教育関係者は是非とも読むべき。

 誰もが漠然と感じてきているであろう、学歴があってもそれだけでやっていける訳ではないという状況を、学歴の「コモディティ化(陳腐化)」という表現で、目を背けられない形で突きつけてくる。否定の余地もない。学歴は、現在の資本主義経済において陳腐化し、その市場価値は著しく低下した。

 コモディティ化したのは「学歴」だけに留まらず、資格や検定の成績など、「スペックを明確に出来るもの」は全て、既にコモディティ化しているか、これからそうなる運命にあるという。グローバル化が人材市場に何をもたらしたかを考えれば、これも同意せざるを得ない。物価や貨幣価値の著しく異なる社会に暮らす同等スペックのライバルたちとの価格競争に陥らざるを得ない為だ。

 以後、筆者が「本物の資本主義」と称するこれからの社会において、如何にして生き残りを図っていくべきなのかということが、「ゲリラ戦のすすめ」として語られるが、これが「20代が生き残るための思考法」本書の主題である。

 一方で、これから子どもや若い世代を育て、社会に送り出す我々、特に自ら教育に関わる人間としては、(自分自身の生き残りももちろん考えねばならないが)、自分達がたった今関わっている教育の一つの成果としての「学力」が、かくも著しく市場価値を失っている、これからさらに失っていくであろう現実を真っ直ぐに受け止めた上で、自らの役割・仕事について考え直す必要がある。

 成果としての学力の市場価値が下落し、陳腐化したということは、とりもなおさず、それを育成する受験・教育産業が顧客に対して提供してきたサービスの価値が暴落したということである。これを誤魔化して、陳腐化した商品を高価値であるかのように唱えて売り続けるのか、高価値妄想を捨てて、実質的な価値を見据えなおし、新たな売り方・提供の仕方を考えるのか、大きな分岐点に来ているものと思われる。

池田 俊明 (いけだ・としあき 株式会社まなゲー代表取締役)
1974年富山県生まれ。大学在学中より学習塾を経営。講師としても多くの子供達を指導。このころ、授業だけでは伸ばし難い基礎学力を養成するツールの必要性を痛感し、学習ゲームの可能性に注目、同時に既存のものの貧弱さに強く不満を覚える。その後、塾経営から退き、2004年に自ら無料学習ゲームサイト「まなゲーらんど」(当時の名称は19online.net、08年に運営を法人化)を開設。同サイトは全国の小中学校・教育センターで紹介・活用されるなど、高い評価を受けている。
(直営サイト以外の主な制作に、英単語学習ゲーム「V検学園」、フットサルゲーム「エフケン」など)