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小黒隆司(GMAスクール代表)

伝える力 「話す」「書く」「聞く」能力が仕事を変える! 池上 彰・著

2011年4月21日

 NHK・TVの人気番組「週間こどもニュース」(お父さん役)で人気を得た著者が主にビジネスパーソンを意識して著したハウツー物。著者は現在も尚、民放でニュースをわかりやすく解説する人気ぶりである。「週間こどもニュース」はこどもよりも多くが大人の視聴者だった事は周知の事実で、その人気にあやかってまとめられたのが本書である。

 伝える力を培う。その前提として深く理解していないと、わかりやすく説明できない・・・

 もちろん、誰であってもぼんやりとであっても納得できる理屈ではある。著者は具体例として「日銀」とは何か? を例に引き、こどもニュースでいかに腐心したかを吐露。真の理解とは?と読者にテーマを投げかける。もちろん、「日銀」の理解が目的ではないから、ここでは『拙著「これが週間こどもニュースだ」をお読みください』とさらり。実は、この冒頭の「つかみ」こそ伝える力の大きな要素なのだ。

 相手を惹きつける。話やプレゼンで相手を惹きつける。ビジネスでは相手の心を如何にしてつかむかが重要なのは誰の目にも明らかだが、著者の最大の視点はいかにして「つかむか」に注がれているように思われる。例として映画「007シリーズ」の冒頭のつかみや、小説では川端康成の雪国の書き出し部分、漱石の「我輩は猫である」の出だしなどを挙げて、まずは「つかみ」であると強調している。本文にはないがわかりやすい例で言うとオペラなら物語を暗示する「序曲」、シンフォニーなら第一楽章、動機の提示、寄席なら若手前座のお客温め等々がそれに該当しようか・・・。全ての優れた舞台芸術の構成、演出を大いに参考にせよ、といわれている気がしてしまう程である。

 ビジネスパーソンが人間力、キャリア、そして売り込みたい商品力を伝えるには、テクニックとしての「つかみ」だけで十分なはずは決してない。著者の言うようにさまざまなノウハウを駆使する必要があるのは当然の事であるが、本書でも様々な角度から伝える力のノウハウが紹介されている。例えば、

円滑にコミュニケーションする(第3章)
「叱るのは“一対一が大原則”」「謝ることは危機管理になる」「苦情電話の対処法」など

この言葉・表現は使わない(第7章)
「順接の“が”」「いずれにしても」「メールの絵文字」など

上質のインプットをする(第8章)
「小説を読む」「落語に学ぶ」「スケジュール管理がビジネスを左右する」など

 いずれも著者の実体験から得たノウハウやアドバイスばかりだから読者は各々の立場やビジネスシーンで参考に出来る事が必ずあるに違いない。また、学生などが一般常識としての教養書として読んでも大いに役立つだろう。

 著者は現在(平成23年3月)、民放のニュース解説番組にレギュラー出演中のジャーナリストである。広い意味でのビジネスパーソンではあるがいわゆる巷で言うところのビジネスマンではないから、語られている内容もやはりビジネスマンにとっての一般教養ととらえて読むべきである。

小黒 隆司 (おぐろ たかし・GMAスクール代表)
大学在学中、器楽オーケストラの指揮者として音楽活動。卒業後企業内音楽マネージャー、プロデューサーとしてヨーロッパ、東南アジア各国での公演等を手がけ、また機関誌編集長を10年以上務めた後1985年独立。1989年「中央児童福祉審議会・特別推薦」(厚生省)受賞、同年海外渡航歴、音楽活動を基にGMAスクール(英会話、フランス語、音楽教室)を東京・西荻窪に設立。東京MX・TVや雑誌で「月謝制で良心的なスクール」として度々取り上げられる。2009年秋よりGMAオンライン英会話スクール(スクールシティ内)開始。座右の銘は、一番にこだわる息子を最期まで励まし続けた母の教え「鶏頭となるも牛尾となるなかれ」(庶民の言い習わし。本来、鶏口牛後)。好きな言葉「小さくともキラリと光る国」(武村正義)。